麻雀による認知症の改善効果について
横浜市立大学脳神経外科学教室
東島 威史
- 日本脳神経外科学会、日本てんかん学会、日本定位機能神経医科学会
- 機能脳神経外科医、脳神経外科専門医、指導医
- フェリス女学院非常勤講師
- 日本プロ麻雀協会所属
機能脳神経外科医であり、プロ雀士としても活動している東島威史(ひがしじま たけふみ)と申します。
今回は主に医師としての観点から、認知症と麻雀というテーマについて語らせていただきます。
お忙しい方もいらっしゃると思いますので結論から先にいうと「麻雀は脳トレに効果的」です。
お年寄りから小さなお子さんまで、脳トレとして幅広い年代にオススメできるのが麻雀。なるべく簡潔に解説していきますので暫くお付き合いいただけると嬉しい限りです。
麻雀の有効性と期待できる効果
認知症の発症予防や症状改善は、現在も多くの医師・研究者が予防や改善を追い求めている分野です。
それぞれ立場が異なっても、重要と考える内容に「積極的な社会活動」があります。この積極的な社会活動、つまりは他者と関わることやコミュニケーションを取ることは認知症のリスクを軽減することにつながる内容であり、その交流のツールとして、趣味を多く持つことの重要性が示唆されています。
趣味の中でも特に良いとされているのが「知的活動を伴う趣味」。
中国の研究では「麻雀」「読書」「カードゲーム」などの知的活動により認知症のリスク軽減効果があるとされてと言われています。
中でも「麻雀」は特に脳機能によく、複数の論文でも議論され、有効性が確認されています。認知症の予防だけではなく、発症してしまった認知症の症状改善や、うつ病の予防に、記憶力向上、遂行機能の向上にも効果を認めています。
麻雀で期待できる有効性
- 認知症の予防
- 発症してしまった認知症の症状改善
- うつ病の予防
- 記憶力向上
- 遂行機能の向上
研究により、上記のような効果が期待できるとされるのが麻雀です。どうでしょう。どれもとても素敵と思いませんか?
予防と改善が同時にできるというのが、とても嬉しいですね。
また、頻度や継続年数は多いほど効果も高いと言われており、週に2回より4回の方が認知症の症状改善には効果が認められています。
ただ、実際問題として毎日のように利用するのは難しいと思いますので、そのような方はデイサービスのご利用がおすすめです。デイサービスは1日単位で利用できますので、ご自身の体調やご都合に応じてまずは1日体験してみてください。
麻雀中の脳の働き
少し専門的な話になりますが、人間の脳というものは場所によって担当する機能がわかれています。
ここは言語を司る、あっちは計算、こっちでは視覚情報、というように処理する担当が分化しています。
このうち言語や計算を司る部位が側頭葉や頭頂葉にあるのですが、「麻雀中にその部位が活性化している」という研究もあります。
面白いことにこの活性化は一人でやる麻雀では見られず、人と卓を囲むことで起こる反応とされています。
実際に人と麻雀を楽しむことが重要ということですね。
人と麻雀をするという条件さえ満たしていれば、話をしながらでも黙っていても同様の反応が認められています。
麻雀卓をおいているデイサービスは他にもありますが、利用者さんで麻雀を知っている人が少なかったり、スタッフが麻雀を知らずにサポートできないということが度々あるようです。その点、ウェルチャオさんのように利用者さんは麻雀を楽しんできた方が多く、スタッフさんも麻雀がわかるという環境が整ったウェルチャオは、この効果を得るのに最適ですね。
麻雀と知能指数
麻雀が脳機能にそんなに良いのかどうか、実際に自分でも調査してみました。
健康マージャンの教室に通うお子さんを対象に調査を行った結果、麻雀教室に1年間通った子供の知能指数が大きく上昇することがわかりました。
その中でも、言語理解と処理速度は大きく向上しており、麻雀で集中力とコミュニケーション能力、視覚性の記憶能力などが強化される可能性が示唆されています。
あなたに、あなたの大事な方に、脳トレとしてオススメできます。
子供からお年寄りまで楽しめて幅広い世代の脳に良い、そんな素敵な麻雀をウェルチャオさんで体験してみませんか。
筆者
東島威史(ひがしじま たけふみ)
- 所属
- 横浜市立大学脳神経外科学教室
- 経歴
- 1983年生まれ
2010年医師免許取得
- 専門分野・資格
-
- 日本脳神経外科学会
- 日本てんかん学会
- 日本定位機能神経医科学会
- 機能脳神経外科医
- 脳神経外科専門医、指導医
- てんかん専門医
- 機能的定位脳手術技術認定医
- スポーツドクター
- 麻雀プロ(日本プロ麻雀協会)
認知症や脳卒中を始め、てんかんやイップス、手の震えなどまで脳神経に関わることを多岐にわたって診療。
主に脳機能、てんかん分野に関する研究活動も行なっている。
フェリス女学院にて「麻雀と脳科学」などの講義を行うなど活躍の場を広げている。
参考文献
- Zhou, Y., et al. (2020). Association between social participation and cognitive function among middle-and old-aged Chinese: a fixed-effects analysis. J. Glob. Health. 10, 20801. doi: 10.7189/jogh.10.020801
- Mao C,, et al. Specific Leisure Activities and Cognitive Functions Among the Oldest-Old: The Chinese Longitudinal Healthy Longevity Survey. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2020 Mar 9;75(4):739-746. doi: 10.1093/gerona/glz086.
- Cheng, S. T., Chan, A. C., and Yu, E. C. (2006). An exploratory study of the effect of mahjong on the cognitive functioning of persons with dementia. Int. J. Geriatr. Psychiatry 21, 611–617. doi: 10.1002/gps.1531
- Tang, X.,et al. (2021). Prevalence of depressive symptoms and its related factors among China’s older adults in 2016. J. Affect. Disord. 292, 95–101. doi: 10.1016/j.jad.2021.04.041
- Zhang,et al. (2020). Playing mahjong for 12 weeks improved executive function in elderly people with mild cognitive impairment: a study of implications for TBI-induced cognitive deficits. Front. Neurol. 11, 178. doi: 10.3389/fneur.2020.00178
- Higashijima T, et al. Effect of Mahjong on children’s intelligence quotient. Front Psychol. 2022 Sep 26;13:934453. doi: 10.3389/fpsyg.2022.934453.
- Fujimori, S., et al. (2015). Comparison of cortical activation during Mahjong game play in a video game setting and a real-life setting. Biochem. Anal. Biochem. 04, 164. doi: 10.4172/2161-1009.1000164